諏訪内晶子インフォメーションPrivate Website Last updated: November 23, 2003 

from master 運用者より
自由なBBSって?(運用者)[November 23, 2003]
私がドイツ語圏地域の良い部分だなぁ,と思うことの1つに,都市部の駅にも改札がないこと があります。乗車券の販売機は置いてあるのですが,出入口に特にバリアを設けていることもなく, 構内に入ることが出来ます。列車ばかりでなく,Uバーン(地下鉄)でも,Sバーン(近郊電車) ,トラム(市電)でも,乗車券を事前に確認されることはありません。

もちろん切符を買わなければ電車に乗れない決まりになっていますから,ときどき私服の検査員が 車内を見回って,乗車券がないと5万円程度の罰金を取られることがあります。このときは 有無を言わさず,罰金を課せられるそうです。私も何度か,そういう場面に遭遇しましたし,あたり まえなんですけど,ちょっと誇らしくUMWELT KARTE(域内無制限チケット)を提示したことも あります。でも,長距離列車を除く多くの場合,乗車券を確認されることは全くといってよいほど ないのです。

そこには,文化的な背景として,常時確認しなくてもきちんと乗車券を買って乗っている, という乗客に対する信頼感があるのだと思います。多くの市民は,割安な年間乗車券を,ポケット にいつも携帯しているそうです。ある日本の旅行会社の人が”私は28回ウィーンを訪れたけれども, 1度も乗車券を買って交通機関を使ったことがない”と自慢気に豪語しているのを聞いて,なんか この人わかってないな,と思ったことがあります。他の文化圏では,あまり発想されない交通システム だと思います。

私が,このサイトの運用にあたる姿勢も,実はこのようなことを考えてきていました。

一見,自由であるように見えるインターネットの世界は,何でも許されるかに見えます。その一方で, トラブルがひどくなって,法的な解決を求めるケースが後を絶ちません。誹謗やプライヴァシーの侵害による 名誉毀損,チケット等の売買に伴う詐取,個人情報の流出,映像や音源・文章転載による著作権侵害の問題などなど。これらの責任の多くは,サイトを運用する側に求められます。

たとえばある巨大著名電子掲示板の主催者には,既に多数の高額な賠償金が課せられています。 これは投稿者が未成熟であることが第一の原因でしょうが,この主催者の運営姿勢が,自由尊重を装いながら,実際には他人への名誉毀損をはじめ,これらを放置しているに過ぎないからだと考えています。侵害している発言を放置することは,自由を守っているのではなく,侵害に加担していることになってしまうのです。これはサイトが営利目的であろうと非営利であろうと,変わりありません。

本当の自由とは何か,を考えるとき,私は他人を不当に傷つけたり権利を侵害することなく自分の思っていることや考えていることを表現できること,あるいは静穏でいられることだと思っています。BBS電子掲示板は,誰でも参加でき発言できる便利な機能を備えています。その機能を活用するためには,利用者すべてが善人とは限らない中での運営で,ある程度基準を設け,事前にガイドラインを示して自己規制していくことは運用上必要だと考えています。悪質な利用者を野放しにするために,何度でも賠償できる運用者ならば,レッセファーレ,レッセファッセでも一向に構わないでしょう。

このサイトのBBSでは,自由な投稿を認めた上で,ガイドラインを基準に違反投稿を削除することを予告しており,実際数件削除した経緯があります(録音物提供依頼,チケット売買など)。中には,すばらしい感想等を書いてくださった投稿であったにもかかわらず,わずか1箇所ガイドライン違反の売買募集等が含まれていたために,削除したものもありました。

BBSガイドラインの基本的な部分は,私が運用している間,変更することはないと思います。



2003年11月23日
運用者




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